各地の地域商社視察~ジバスクラム恵那の目指すものとは

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全国に既にある『ジバスクラム恵那の目指す姿』を視察し、今後の事業展開に生かす。先行する地域商社の取り組みは、走り始めたばかりのジバスクラム恵那にとって、最良のテキストです。
今回は株式会社東近江あぐりステーション(滋賀県)と、地域商社京丹波(京都府)にお邪魔し、これまでの取り組みと今後の目指すものについてお話を伺いました。

株式会社東近江あぐりステーション
最初に訪れた株式会社東近江あぐりステーションは、平成30年に市が強力に後押しして設立し、現在はJAをパートナーにすえ運営する地域商社です。
農業の大きな転換点を迎える昨今、農業で収益を得る仕組みを構築し、持続的かつ安定的に農業がビジネスとして成功し、地場農産物があふれる東近江市を作っていくための事業を取り行っています。

写真1
対応してくださった室長の小椋さん、主事の福嶋さん

あぐりステーションのアドバイザーとして販路開拓を手伝ったのは有限会社漂流岡山という、こちらもまた先行する地域商社です。
農地と農業スキルを活用して仕事を作り、人を呼び込み地域を活性化させる。それがもっとも手っ取り早い『地域活性化』であり『地方創生』であると考え歩んできた漂流岡山。培ってきたノウハウを生かし、量販店にも農家にも消費者にもメリットのある仕組みを構築しています。

東近江で目玉にすえたのは業務用キャベツ。今は域内のスーパーや地元のラーメンチェーン相手に販路を開拓しています。
従来のプロ農家とは違う特徴をもった販路を支援するのが東近江あぐりステーション。
初年度は豊作やマッチング調整不足などの原因で、在庫が発生、赤字となったそうですが、そんな経験を重ねながら改善をすすめ、今では大型のショッピングセンターに専用の売り場を設けることができるまで成長しました。
特に大型ショッピングセンターと、連携している地元の大学とのコラボで行うイベントは盛況で、地場野菜の認知度をどんどん高められています。

販売を行うショッピングセンターの地場野菜コーナー

必要であれば他の産地の野菜を仕入れ、メインのアイテムである地場野菜を守るようにしているとのこと。根底にあるのは、生産者の活動を守るという思いです。
市場がいいときも悪い時も安定して販売を引き受けることにはまだまだ困難が付きまといますが、あぐりステーションの挑戦はこれからも続きます。  

地域商社京丹波
(地域商社京丹波は観光協会の一部門であるため、観光協会の事業ページのリンクを貼ってあります)
次に訪れたのは京丹波町の地域商社。観光協会の事業部門として、地域の生産者の農産物の販売を手掛けています。
担当している勝田さんはもともと「地域おこし協力隊」として町に馴染んだ存在。3年間の補助金の切れ目で地域商社として独立し、本格的に農産物の販売事業を始められました。

町職員の山下さんと勝田さん

背景にあったのは、高齢化していく農家の姿。
『丹波栗』『丹波黒(黒豆)』『丹波小豆』などの地域資源がすでに豊富であるにも関わらず、生産者の人口も町全体の人口も減り続けて高齢化が進み、ついに町が立ち上がったのです。

勝田さんが大切してきたことは、これからの地域農業を担う新規就農者生産者との細かな打ち合わせ。そのために一軒一軒足を運び、売れる作物を提案してきました。実際に作付けは増加してきていて、今はJAや直売所に次ぐ新たなチャネルづくりに励んでいるそう。
「生産者が一人でも生き残るため、続けたい」「特別な飛び道具はいらない。普通の野菜をちゃんと売っていきたい」 
そんな思いを胸に、京丹波では生産者のフォローが続けられます。

集荷施設の様子

二社を訪れて感じたことは、地域商社は地域の生産者、特に自ら販路開拓に意欲のある新規就農者を安定・定着させるための装置であるということ。
「地域をつくる」ためにぶれない理念を持ち、外部の理解をしっかり得ながら収益を得られるよう持続的に進めなければならないことを痛感しました。

恵那らしい販売、誘客を!
ジバスクラム恵那は、これからもますます地域に根付いた事業展開を検討してまいります。