恵那発「からだがよろこぶ食材」の再発見~新しいビジネスが生まれる【後編】

アクティブ・ギア株式会社 高野知司さん お知らせNEW 知っとくあれこれ 農林業

ジバスクラム恵那事業パートナーであるアクティブ・ギア株式会社代表取締役 高野知司さんに恵那にお越しいただき、恵那に既にある農産物や商品に関して助言をいただいた一日のご報告、後編です。
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山岡町のかんてんかんの次に向かったのは、長島町久須見にある恵那たんぽぽ作業所。ここで授産事業責任者の酒井薫さんと、恵那でも一番の生産量を誇るしいたけ、特に「天恵菇(てんけいこ)」と呼ばれる品種についてお話をしていただきました。

普通のしいたけ(写真右)に比べてかなり大きいことが分かる「天恵菇」、直径12~13センチ

たんぽぽ作業所はもともと、知的障がいをお持ちの方が「働くこと」を通じて生きること、生活すること、成長することを学ぶ施設です。
働くことで賃金を得、各人ができることを増やして生活力をつける過程で、しいたけの菌床栽培を行い、パンの製造を始め、店舗を開設。
特に中津川の「くりくりの里」では農産物販売所や地域の銘菓が揃う「手づくり館 夢工房」、和食処にベーカリーカフェ、ファストフード店を備え、ひっきりなしに観光客や地元のお客様がいらっしゃる場所を確立。今やたんぽぽ作業所は恵那を代表する事業所の一つとなっています。
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ここで生産される「天恵菇」には既に都市部から「使いたい」というオファーが来ていて、今回高野さんがたんぽぽ作業所と店舗の間に入り、持続可能な取引を行うために尽力するとお話くださいました。
産直でのやり取りには痛みがつきものです。値段で折り合いがつかなかったり、運賃の話で行き詰まったり。小ロットでお互いに利益を出そうとするとなかなか話がまとまりません。結果都市部に商品を出すよりも、自分のところで売ったほうがいい・・とさえ思うこともあるそうですが、
高野さんに間に入っていただくことで、たんぽぽ作業所による「恵那の天恵菇」が都市部に進出するルートが見えてきました。

また、高野さんの元に届いているオファーに応えられるものとして、しいたけの出汁をとるための粉末や、しいたけの乾燥スライス、さらには水煮にしたものの商品化に関してもお話がありました。
酒井さんからも、既存の技術で用意できるものは今すぐにでもやりたいという前向きな言葉が聞かれ、新しい商品・新しいビジネスが生まれる瞬間に立ち会ったような気がしました。

高野さん(左)と酒井さん(右)
商品化の可能性が見えてきて、期待に満ちた笑顔のお二人

お二人のタッグで、恵那の天恵菇の評価がどんどん高まることを期待せずにはいられません。

最後に訪問したのはセントラル建設株式会社。
代表取締役社長である阿部伸一郎さんはジバスクラム恵那の理事長でもあり、事業パートナーである高野さんとの打ち合わせを兼ねて、同社で管理する「中山道じねんじょ農園」で生産されている自然薯について意見を交わされました。

セントラル建設で開発された自然薯冷凍食品

建設会社にとって4月からは少し手が空く期間。その期間に何かできないかと考えて始められたのが自然薯栽培だそうです。毎年4月から6月にかけて植え付けて、今年で4年目。3年目の去年初めて予定量を収穫し、商品化を進められる環境が整ってきました。
自然薯はパイプを使って栽培されるのが一般的ですが、セントラル建設ではパイプは使わずトタンで生産しているとのこと。建設用の重機で建設に伴う技術を使えば、難しい・手がかかると言われているトタンでの生産が可能になるそうで、まさに目からウロコの、建設業者ならではの農産物と言えるでしょう。
中山道じねんじょ農園は岐阜県からのGAP認証も取得しており、安心安全の恵那が誇る農産物が、いよいよその実力を発揮しようとしています。

この自然薯を効果的に販売するにあたり、様々な案が出されました。自然薯に豊富に含まれるポリフェノールやミネラルなどの成分をもっと大々的にアピールすること、自然薯だけではなく、一緒に食べられる何かとセットでメニュー提案すること。
他にも自然薯の強みを生かした商品化のヒントが多数出ましたが、中でも一番鮮烈だったのは「建設現場の作業員の方々の栄養・ミネラル補給」という案。
建設会社で作られた建設会社ならではの自然薯を、建設現場の作業員のために。この原点に還る商品化の案に、一同コロンブスの卵を見るような気持ちで感嘆の声を上げました。
同席された同社取締役営業担当統括部長の堀川信祐さんは「従業員に渡すのは明日からでもできること。この夏を乗り切るために、是非早速試してみたい」とおっしゃっていました。

セントラル建設阿部社長と高野さん。自然薯のすりこぎ棒とすり鉢を持って記念撮影

恵那の自然薯が建設業界を変える商品に成長することができるのか?
こちらもまた、今後が楽しみな案件となりました。

事業パートナーの高野さんのお力をお借りし、また少し恵那の魅力を発信する準備が進みました。恵那に眠るお宝が日の目を見ることは、ジバスクラム恵那にとって最高の喜びです。
これからも一つでも多くの宝物を、たくさんの方々に認めてもらえるよう頑張ってまいります。